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一口馬主とは~一口馬主の側面を含んで考えてみる~

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一口馬主とは~一口馬主の側面を含んで考えてみる~

先般、私が出資するカルトゥーシュが2月12日のレースを最後にファンド解散、サラブレッドオークション行きとなりました。
サラオクに行くということは、買い手がつけば地方競馬あたりでまた出走することになります。
もしかしたら勝ち進んで出世して大きなレースに勝つこともあるのかもしれませんが、クラブとしてはファンド解散を選びました。
一口馬主の制度というのはクラブの意向には逆らうことができない投資ファンドの一つです。
なので、このファンド解散は甘んじで受けるしかなく、かりにまだカルトゥーシュの未来に投資したいのであれば、サラオクに出てきたら自分で落札して一個人の持ち馬として走らせればいいのですが、そのためには最低限地方競馬の馬主資格を取得しておく必要があります。
そんな一口馬主投資について、今回愛馬のファンド解散を受けた直後の心理状態で一口馬主という投資ファンドを改めて考えてみたいと思います。

一口馬主は投資ファンド

絶対に忘れてはいけないことの一つは、【一口馬主はれっきとした金融商品(投資ファンド)】であるということです。
端的に言えば、G1を勝つとか、ダービーに出走することが目的の商品ではなく、競走馬に投資(出資)し、獲得賞金をファンドの見返りとして金銭で返すのが主たる目的で、利回り100%以上を目指すれっきとした金融商品であるということです。
その結果として、G1レースに出走し、勝つこと(入着すること)で配当にあたる原子の獲得賞金の額面が一気に膨れ上がりますから、G1に勝つこと自身はファンドとしての最高のリターンとなります。

配当獲得の基本

一口馬主という金融商品は様々な形で配当があります。
代表的な配当を列挙してみました

  • 賞金配当(特別手当・地方競馬出走時の賞金などを含む)
  • 事故見舞金(JRA支給の見舞金)
  • 景品等売却代金の分割配当
  • 引退時サラブレッドオークションなどでの競走馬売却代金
  • 引退時繁殖入り決定時の競走馬売却代金(繁殖牝馬・種牡馬)

賞金配当

賞金配当は、一口馬主の競走馬が競馬(レース)に出走し、入着した場合に提供される賞金が主たるものとなります。
1~5着で入線した場合は本賞という名前の賞金が、~9着(オープン・重賞は10着)までは特別奨励賞という名前で賞金が受け取れます。
それ以外に、特別出走手当という手当が貰え、基本的には出走馬に出走ごとに一律付与されます。(JRAの場合47万円)。
こちらについては一定の基準で、増額・減額の措置がありますが、基本的には配当されるものとなっています。
いわば競走馬の固定給のようなものです。
それ以外にも距離割特別賞や、内国産奨励賞、付加賞(特別レースの特別登録料を案分して配当する賞金)などもあって、1勝C、芝の長距離特別戦(登録多数のレース)を内国産馬で勝利した場合、特別奨励賞を含んだ1レースの賞金総額が1000万を超えてしまうこともあります。
一口馬主として、該当馬に出資していた場合、基本的にはこの賞金から必要な経費(騎手や調教師への進上金やクラブへの手数料)と源泉税を引かれた残りを口数で割って配当されます。
全ての控除を行って残った額面が500万円、500口の場合、一口1万円の配当を受け取ることができるということです。
基本的にはこの賞金配当がメインなのが一口馬主投資ファンドということになります。
なので、有馬記念を勝って、4億~5億という賞金があれば、500口募集でも100万近い配当収入を得ることができるということになりますので、G1を勝つことが目的ではないと言いながらも、G1を勝ってくれれば一発逆転だなぁという思考にはなりがちです。

景品等売却代金

JRAの場合、勝利するごとに、その競走馬に勝利の記念メダルが発行されます。
未勝利戦でも、大体70~100万前後の金貨が提供されます。
一口馬主の場合、投資・ファンドですから、その競走馬に提供されたもので換金できそうなものはすべて換金して配当に回すのが基本です。
なので、金貨なども換金して現金化し、得た収入を出資者に配当します。
記念品と言いながらも金貨など換金性の高いものが多いですし、JRAは、記念品すらも高額なのでそれなりの収入にはなります。
調教・育成のための預託料が50~70万というのがJRA競走馬の世界ですから、未勝利戦優勝の金貨だけでは、預託料が2か月と持たないと考えればそのくらいの副賞があっても妥当なのかもしれませんね。
ノーザン系のクラブの場合、金貨は出資者に向けて希望者に払い出すということをやっていて、複数の希望者がいれば抽選。仮に当選すれば大体その時の金のレートに合わせて価格を決めて売却します。
得た現金を口数で割って1口当たりの配当としているところが多いようです。
大きなレースを買った際などの記念品はクラブが買い取って、クラブの展示ブースに飾ることもあるようです。
金融商品ですから、そのあたりは明朗会計で、うやむやにすることはなさそうです(うやむやがあってはいけません)。

事故見舞金や保険金など

あまりもらいたい配当ではないのですが、競走馬がけがや病気を発症した場合、要件によってはJRAから事故見舞金というものが配当されます。
これは、けがや病気、その怪我の重症度によって、見舞金の額が変わります。
200~700万円前後の範囲で重症度に合わせて見舞金の支払いが行われます。
また、クラブのファンド馬の場合競走馬保険に加入しているケースが多く、こちらも症状に合わせて配当されることがあります。
保険についてはクラブによって加入する保険の内容や保険料も違いますので一概にこうだとは言えませんが3歳まで未出走のまま競走能力喪失と判断され引退した場合は100%の配当、既走馬で競走能力喪失診断の場合は50%程度という保険に加入することが多いように見受けられます。
あまり受けたくない配当ではありますが、ある程度は仕方のないことかと思います。

サラオク等での競走馬売却代金

競走馬が勝てなかったり、様々な要因でファンドを解散することになった場合に、3つの方法でファンドが解散されます。
一番多いと思われるのがこの、ファンド解散しサラブレッドオークションに出品するパターンかと思います。
クラブも、ぎりぎりまで引っ張るようなことはせず、潔くファンド解散を決めた場合、3歳秋未勝利とか、4歳春未勝利というタイミングや、4歳夏ころまで1勝Cで掲示板にも乗れないなどの場合に、ファンドとしての維持がマイナスになると判断する場合で、それでもまだまだ競走馬としては活躍できる場があるかもしれないと判断される場合に、ファンドは解散するがサラオクで次の買い手を探すということをやります。(投資上マイナスだったとしても、競走馬としては出世できるかもしれないという判断がないとは限りません。)
当然このサラオクで買い手がついた際の売却代金は、出資者に配当されますので、ファンドとして最後の配当収入になる可能性があります。
当然この先は別の馬主の馬となって地方競馬で走るケースが多いわけですが、その後上位クラスで活躍したっていう競走馬をあまり聞いたことがないので、こういったケースでのクラブの判断はある程度正しいのかもしれませんね。

繁殖入り時の競走馬売却代金

牝馬についてはあまり活躍していない競走馬でも繁殖入りを約束されているような馬もいます。
さらに言えば、どんなに活躍しても引退時は募集価格の〇%で売却すると決まっているケースが多いのも特徴です。
例えばアーモンドアイは現役時の獲得賞金は20億近いですが、繁殖入りが決まって競走馬を牧場に売却するわけですが10%と決まっているため売却代金は二百数十万円だったと思います。一口当たりの配当は1万円にも満たないのです。もし牡馬で種牡馬入りなら...と思いますが、もともと牝馬ということで牡馬よりも多少安く募集価格が設定され、しかも成績にかかわらず繁殖入りする際には買い取るというオプションがついている牝馬ですから仕方がありません。
牡馬についてはその限りではありません。
基本的に種牡馬になる馬というのは、やはりG1を勝つほどの競走馬でないといけないですし、社台SSで繋養されるには、G1を2~3勝してやっと話に上がる程度です。
逆に言えば種牡馬になるぞっていう話が出る馬はその時点で時代を彩った名馬でしょうし、稀代の名馬である可能性が大いにあるわけです。
近年のクラブ馬で有名なのはロードカナロアでしょうか。
現役の成績としては、生粋のスプリンターでした。ロードカナロアの父はキングカメハメハ。
種牡馬の系統を見ればただのスプリンターではないと判断されたのでしょうか。びっくりするような高額で、社台スタリオンが買い取りたいと話を持ってきたそうです。
社台・ノーザン系スタリオンに繋養されるだけでも名誉なことでしょうし、そもそも非社台グループ生産馬で社台SSにスタッドインできる内国産馬などめったにないのですが、額も額なため、(数十億だっていう話だそうです。1口でも5年にかけて数百万の配当があったということらしいですが真偽のほどは定かではありませんが。。。)即ノーザングループに売却が決まりました。
その後ロードカナロアは、アーモンドアイやサートゥルナーリアなどオークスや皐月賞、ジャパンカップや有馬記念を勝つような、どちらかというと芝でもクラシックディスタンスを勝つような馬を輩出。
その後も、長短、ダート・芝全てにおいて適性があるような馬を輩出し続け、今はトップサイアーとなりました。
一口馬主の世界でも、出資馬が大活躍し、種牡馬入りに対する配当が多分大きくなることもあるのかなと思います。
ロードカナロアはクラブ馬牡馬として、また、非社台系としては最高の成績を収めた馬の一頭でしょう。
社台系の一口馬で有名な種牡馬でいえば、オルフェーヴルや、ステイゴールド、ハーツクライなど枚挙にいとまないです。ステイゴールドに至っては社台が放出し、それを拾ったマイナる軍団の総帥岡田さんが、ステイゴールドを繋養、そこからオルフェーブルやゴールドシップ、障害のレジェンドホースオジュウチョウサンなどを輩出。リーディングサイアーとしてディープインパクト登場までつないできた名種牡馬です。
これらの馬は当然、現役当時にG1を勝ったり、海外で活躍したり、稀代の名馬ディープインパクトを打ち負かしたり、かなりの実績のある馬たちですが当時は(今もそれに近いですが...)社台の馬からG1馬が出るといわれるくらいの時代ですので、ある程度当然と言えば当然でもあるのですが、40口募集の馬であれば賞金配当と種牡馬入り時の売却代金配当で家が建つほどの配当をもらえていると思われるのです。

出資馬の引退

様々なケースで配当がもらえることが分かったと思います。
そのうえで、どんな名馬であろうがいつかは引退します。当出資馬でも引退・ファンド解散となった馬はカルトゥーシュのみならずたくさんいます。
どんな理由で引退するかも様々です。
条件馬の場合は、ケガによる引退が多い気がします。
条件馬でも、トップホース、重賞戦線で活躍するような馬でも、現在のクラスで通用しなくなったら引退の声が聞こえてきます。未勝利馬の場合は、3歳の夏までに勝ちあがることができなければそのまま出走するつもりなら1勝Cに格上挑戦をする必要があり、未勝利戦を勝ちあがれないのに、その上のクラスで勝ちあがれるのか?という禅問答のような状態に陥ります。
そんなJRAですが、ちょっと前までは降級制度というのがありました。
重賞勝ち馬は別ですが、ある一定の期間で昇級できなかった(勝ち上がれなかった)場合、1クラス降級するというルールがあって、だから、例えば1000万下(現2勝C)で、3着~5着の掲示板を繰り返しているとクラス編成の時期になると500万下(現1勝C)に降級します。
1000万下で掲示板に乗る程度の実力はあるので、数戦のうちに500万下をまた勝ちあがります。1000万下に戻ってきます。そのまままた1年間掲示板を繰り返していればクラス編成時にまた降級して500万下へ...
これができた時代がありました。
しかし、今は勝ち鞍数でクラスが決まるルールになり降級制度がなくなりました。
なので、一旦2勝Cに上がったら基本的には現役の間は2勝C以下にはなりません。
そうなると、掲示板にも乗れないレースを繰り返してしまうと預託料も稼ぎ出せないということになってきて、引退の声も聞こえてきます。
なので、どのクラスにいるのかは、現在はあまり関係がなく、現行のクラスで走れなくなったら(掲示板にも載れなくなったら)引退というのが見えてきます。

引退は避けて通れないから・・・

今回私の出資馬カルトゥーシュは、ケガや、あまりにも走らなくてファンド解散になった馬以外の理由で初めてのファンド解散になりました。
何せ前走は1勝Cで4着です。
すでに勝ちあがっている1勝Cの馬なら、まず引退とならない成績なのですが、カルトゥーシュはこの時点で未勝利4歳。
ずっと格上挑戦をやっている身で、今回は手薄なメンバー構成、少頭数3番人気でした。陣営は当然勝ち負けを意識していて、どの陣営よりも勝利にこだわっていたと思います。
そのうえで勝ち馬~3着馬からは結構離された4着では、次にこんな手薄なレースに巡り合えるとも限らず、勝ちあがる道がすべてふさがれたような格好になりました。
また、カルトゥーシュがもしサラブレッドクラブライオンやローレルクラブの馬なら、もう少し格上挑戦や、地方からの再出発という可能性もあったかもしれませんが、カルトゥーシュはシルクホースクラブという、それこそ馬主リーディングで1~2位を争うような大馬主です。2歳馬が入厩を始めるこの時期に未勝利4歳馬をおいておける余裕はないでしょう。
おまけにカルトゥーシュはダートはからきしだめだという判断をされていますから地方からの再出発も厳しい。
とはいえ力が違うから3勝くらいならあっという間にしてくるでしょうが、それでJRAに戻せるほどシルクは当数が少ないわけではありません。トレセン入りする競走馬の数を計算しなければいけないほどひっ迫しています。
それらを総合して考えると、ここでファンド解散しますと言われても仕方がなかったでしょう。

わたしの心情は…

クラブの内情などは関係がなく、出資者には出資者としての愛情や想いがあります。
ファンドで稼げるかどうかとか、未勝利の身でどうのこうのとか。そういうのも飛び越えたところに愛情が芽生えます。
カルトゥーシュは、そういう意味では格上挑戦になる1勝Cでも掲示板に2回、残り2走は8着で、全く通用しなかったかといわれるとそうでもなく、このまま頑張っていけばいずれ勝てるかな?
と思われるほどの走りを1勝Cでもやっていました。
しかし、いつまでも格上挑戦で挑戦し続けられるほどJRAも甘くないですからね。
それでも出資者はまだ未勝利のカルトゥーシュにも当然のように夢を見るわけです。
もしこの1勝Cで初勝利を上げられたら、まずは未勝利馬ではなくなり1勝C馬になります。
そうすると格上挑戦での勝利ですから、まだ1勝C要は次戦も同じ1勝Cに今度は格上挑戦ではなく同格挑戦で挑めるわけです。つまりほぼ確勝ですよね。そうなるとカルトゥーシュの募集価格からすれば2勝したら馬代金はペイしますからね。まだまだファンドとして成立するななんて。
それを期待して見守っているわけです。
しかしほとんどの場合、格上挑戦なんて成功しません。めったにうまくいかないのもわかっています。だって、未勝利戦を勝ちあがれなかったわけですから。
ただ、私の場合、カルトゥーシュ出走の前週に同年齢の4歳未勝利馬ケリーズノベルが格上挑戦一発回答で勝ちあがりました。(私の出資馬でもあります。)
昨年はサラブレッドクラブライオンで、当然のように格上挑戦し続けダート替わりの一戦で圧勝したブレイブライオンという馬がいます(こちらも私は出資しています。)目の前でサクセスストーリーを進めた馬がいますから、カルトゥーシュにも期待しましたし、レースの人気だけでいえば、カルトゥーシュがどの馬たちよりも人気を集めていましたから、期待も大きかったですし、実際に負けた落胆も大きかったです。

一口馬主投資というのは良いのか?悪いのか?

こういう時は冷静に考えたいと思います。
心情的に、ファンド解散や引退、ケガの療養で愛馬が出走しない期間が続くと、気持ちが萎えてきて、もう一口馬主、やめちゃおうかななんて思ってしまうことも多々あります。
さらに思考を進めると、確かに一頭引退はしたけども、ほかにもたくさん競走馬に出資していて、その中には期待をしたい有力な馬もいます。
一頭引退したくらいで何いってんだ!と考える自分もいます。

ここは、もともと私のコンセプトは投資としてトータル回収率100%以上を目指すという観点で見てみようと考えるわけです。
今回のカルトゥーシュは、出走手当を含んだ賞金配当をもってしても馬代金も回収できないまま引退しました。
また、ケガによる引退などでもないため、保険金や見舞金もありません。
サラオクの売却代金で配当は最後になると考えられます。
預託料もありますから、収支でいえば結構なマイナスです。
全体の回収率でいえば30~40%もあるかどうかでしょう。
では、未回収の70%近くはどうなるのか?
ですが、これは当然損失金額となります。
もし、本年、大活躍するような馬が出てきた場合、カルトゥーシュのこの損失額を活躍した競走馬の配当収入から控除できるかもしれません。
大事なのは活躍馬の登場です。
活躍馬候補としては、ミラクルキャッツの次走次第では、本年重賞級の大活躍という可能性がありそうですね。
また、ロンコーネが大井競馬に移籍しましたが地方限定の重賞を勝つ可能性が残されています。
本年2歳馬で、期待したくなるシルクの馬が1~2頭現れていて、今までにない近況コメントが見受けられます。
これらの馬が年末までに大きなところを勝っちゃう可能性もあって、もしそうなると、カルトゥーシュの引退のおかげでそれらの馬の配当収入から損金計上をして源泉税の還付を受ける可能性が出てきますね。

結論~まとめ~

心情的にはカルトゥーシュの引退は結構痛い...もうちょっと頑張ってほしかった...というのが本音ですが、クラブの判断でここでファンド解散がベストだと判断されたのならそれは仕方のないことだと考えています。
そのうえで、ある程度ラインナップも充実してきた私の一口馬主ポートフォリオでいえば、本年大活躍して大きなところを狙えるような馬が現れるとするならば、カルトゥーシュの引退は投資の観点からはむしろプラスに働くと考えてもいいかと思っています。
損益通算ですべての競走馬の配当や損失を通算するならば、カルトゥーシュの引退による損失計上はほかの馬の賞金からの源泉税を還付を受けるものに利用できるのかなと思っています。
まだ2月ですから、捕らぬ狸の皮算用になっていますが、【活躍馬】が登場すればこれは大した話ではなくなります。
そうなることを期待したいと思っています。

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